4 大阪 ヨガ 13期基礎理論感想 森下賢一 様

森下賢一  様 41歳 夙川教室

 

 基礎理論のコースを受講し終わり、感想文にまとめるためにこの半年を振り返っていますが、自分でも少々の驚きを感じながら書いています。

というのも、この半年間ほど自分の変化を実感できたことはなかったからです。と同時に、これほど深<自分との対話を促されたことも、今まで生きてきた中であまりなかったのでないかと思います。それほど、私にとってこの講座がただヨガ哲学とヨガセラピー理論を学ぶということ以上の、とても深い意味を持つものでした。

 

 初めは、五千年以上の歴史を持つヨガ哲学を学ぶことそれ自体たいへん興味深いことではあるけれど、それが果たして今の時代を生きる私たちにとって何の役に立つのか、と疑問がなかったわけではないのです。

 それでも教室で高橋先生から学んでいくうちに、むしろ「物質主義的な見方が支配的な今のような時代を生きる私たちにこそ必要な教えなんだ」、ということに次第に気づきました。

 これは、先生がときには難解かつ抽象的になりがちな哲学を、日常生活の一場面を例えに用いながら、わかりやすく噛み砕いて、ときにはユーモアを交えながら教えていただいたからこそだと思います。

独学でテキストを読むだけでは、概念的な理解はできたかもしれませんが、きちんとしっくりいく形で身についたかどうか、難しかったように思います。

 

 授業は毎回、前回までのおさらいを先生の方からランダムに投げかけられる質問に答える、という形式で行われますが、勉強したはずなのにまったく覚えていなかったり、うまく言葉として表現できなかった自分に唖然としたりもしました。

が、それでもあの何度も何度も同じように繰り返されるやりとりを通して、新たに記憶として繋がったばかりの回路がさらに太くなっていくというか、少しづつ「ヨガの教え」が自分の中でシステム化されていったように思います。

 

 今、この文章を書くにあたりノートを読み返していますと、そこに書きなぐられた文字を眺めながら、先生の口から矢継ぎ早に飛び出してくる、教科書には載っていない貴重な教えを聞き逃さなぬよう書き留めるのに必死だったのを思い出します。

 

 そのノートは開くたびに新たな発見がありますし、心に響く言葉で埋め尽くされている、私にとってはたいへん大切な宝物のようなノートとなっています。

 なかでも先生が語ってくれた私のお気に入りの言葉を思うとき、暗闇にすっと光が差し込んできて、徐々にまどろみから覚めていく感覚。それと、今までの人生の中で身につけてきた変なクセのようなものがポロッと剥げ落ちていく、そんな感じがします。

 

 この講座から学んだ大切なことはたくさんありますが、なかでもとりわけ一番重要なこととして心に残ったのは、能動的に心と身体をコントロールすることで自分をより良い方向へ向けられる、ということです。自分なりにヨガの教えを日々の生活の中に取り入れていくなかで、さまざまな変化が起こりましたが、以下、私が感じた変化のうちの主なものです。

 

 日常の小さなことに感動できるようになった

たとえば雀が砂浴びをしている様子だったり、カラスは散歩をするという事実を発見したり。そんな小さなことですが、身近な自然を観察することに喜びを感じるようになりました。

 

 読書の質が変化した

もともと読書好きではあるのですが、今まではどちらかというとフィクションばかりでした。この講座をきっかけにインドの叙事詩や経典など、哲学や詩、聖典に興味を持って読むようになり、活力に満ち溢れるような感覚となりました。

 

自己の延長線上に他者が存在するということを意識するようになった

苦手なタイプの人に対する時に、彼らにしても、そうなりたくてなっているのではないということ。環境や人間関係、トラウマなどさまざまな原因でそうなっているのだということを思い出すようにしています。

 

自分へのこだわりがなくなった

そのせいか隠し事をするとか、自分の間違いを誤魔化すことがなくなり、より素直に正直に反応ができるようになりました。心がシンプルになったと言えばいいのでしょうか。

 

破壊的・否定的な感情を観察するようになった

ネガティブな感情が湧いてくるのを完全に断つことはできないのですが、そういった感情を抱いているときはできるだけ行動に移さぬよう、嵐が通り過ぎるのを待つようにやり過ごすようにしています。ただし、10月に腰を痛めていた間は、これができませんでした。こういう制ができるのも健康で心がくつろげているからこそなのだ、と身をもって学んだ次第です。

 

 能動的に行動することを好むようになった

今までは仕事中に大変そうだなとか、面倒くさそうだなと感じることには億劫になっていたものですが、今はそういう興味が湧かないことにも意識を向けて集中することができるようになりました。

 

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あえて自分に集中を強いることで、ただ辛いだけで退屈になりがちな時間を有意義なものに変えることができるようになりました。

 

利他的な行動ができるようになった

身近なところでは、落ち込んでいる人がいたら元気になれるよう声をかけたりとか、場の空気がまずい方向に行きそうなときに、ポジティブに場をなごますようなことを言ったりとか、そういうことが自然とできるようになりました。あとは公共の場ですれ違う全くの他人に対しても、辛そうな人を見かけたら「どうかあの人にも心の平安が訪れますように!」と心の中で祈ることもしています。

 

② 自分の身体に感謝の気持ちを持つようになった

この講座では身体のしくみも同時に学びました。普段は忘れてしまいがちですが、人間の意識が及ばないところで、さまざまな身体中の組織や器官、細胞たちが休むことなく一生懸命働いてくれているから、今もこうやって普通に生活を送れているんだということ。そういうことを改めて学ぶことで、感謝の念を持つようになりました。と同時に今まで自分自身を雑に扱ってきたことを強く反省しました。

 

③ 空を見上げることが増えた

喉を伸ばすと扁桃を鍛えられると教わったのでそれを実践していると自然と、夜、星空を見上げることが多くなりました。

 

好奇心、新たなことにチャレンジしたいという意欲が戻ってきた!

これは私にとって一番嬉しかったことです。この世界でいろいろ経験し、失敗を恐れず学び、より良く生きるために試行錯誤をし、そして高い次元へ向けて好奇心を持って、人生を探究していく。これが私がヨガから学んだ、人間らしく生きること、です。

ただそのように、あたりまえに人間らしく生きるということが、とても難しい。なぜなら、役に立つか立たないかで他人との距離感を図ったり、必要のないものを買うための消費活動が奨励されるような物質主義的な精神状態が支配的な社会で、いつの間にか魂が本来もっているはずの純粋さを素直に表現する場を失い、さらに間違った生活習慣やストレス、さまざまな誘惑を通過していくなかで、自分でも知らぬ間に無気力や虚無感に捕まってしまっていたからです。

 

   私の場合はその空虚さを埋めるためにアルコールを飲むようになりましたが、恐ろしいのは自分でも気づかぬうちに、10年、15年が曖味模糊としたまま経ってしまっていたということでした。そしてその間、何に対しても好奇心が湧かなくなってしまっていたことでした。

 

 何かを変えなければ!このままでは意味のない人生をただやり過ごすだけで終わってしまう!そんな危機感から断酒したのが2年前で、そこからヨガに出会うわけですが、今では、自分の心と身体を正しい方向に導いてくれる指針を得ることができたことで、「これからの人生をより深く楽しめるんだ」という確信というか、強いエネルギーが満ち溢れているのを感じます。

 

 

 たまたま職場と家の間にあったという理由で選んだ初めてのヨガ教室が、高橋ヨガだったこと、そしてこの基礎理論の講座を受講できたことはとても幸運でした。

ありがとうございました。

また上級理論のほうでもよろしくお願いします。